![金継ぎセット「つぐキット」の中身紹介16](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/ca7a435e34c2ab02d350bed27ef32859.jpeg)
そーは「つぐキット」なる金継ぎセットを手に入れまして、さっそく金継ぎをやってみました。コレです。
「つぐキット」には、金継ぎに必要な特殊な材料や道具が必要な分だけ入っているので、これから金継ぎを始めてみようという方には最適のキットです。「つぐキット」を使って実際に金継ぎしてみましたので、参考にしてみてくださいね。
目次
- 1 「つぐキット」で金継ぎする器たち
- 2 「つぐキット」で金継ぎする時に参考にした動画
「つぐキット」で金継ぎする器たち
今回は、同時に3つの器を金継ぎしました。漆を練って作る「麦漆(むぎうるし)」や「刻苧(こくそ)」、「錆漆(さびうるし)」などは、少量で作ったとしてもけっこう余ってしまいます。ので、3つ同時に継ぎました。(のちにコレが仇になるのですが)
これまでいくつか金継ぎをしてみて、ザラザラとした土物などは、漆が余計なところに付いちゃうとなかなか取れないし、ヤスリでシュコシュコ削ると、周りも一緒に削れちゃうし、ってことで今回は磁器を継ぎました。最初は釉薬がしっかりとかかったツルツルした器の方がやりやすいかも。
「割れている」「欠けている」って同じような意味で使うこともあると思うんですけど、ここでは「割れている」は、2つに割れている、みたいにパーツがあることを言い、「欠けている」は、その部分のパーツが無いことを指す意味で使っています。
2つに割れた小皿
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/aca703c02c8d472155fbae4844d3c566.jpeg)
小皿は2つに割れていますが、それ以外は大きな損傷はなく、2つをピッタリとくっつけて、その境目を埋めて、漆を塗って金を蒔きます。
2つに割れて欠けも大きなそば猪口
![金継ぎする器1](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/62aa0444c6a8c7b29885f0e1109fbb9d.jpeg)
![金継ぎする器2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/399315004b6ac1932c85ee6dff7cd4a9.jpeg)
そば猪口は、真っ二つに割れていて、その割れのつなぎ目のフチ部分が大きく欠けています。まずは、2つをくっつけてから、大きく欠けた部分を埋めていきます。
この大きく欠けた部分を埋めていく作業が、けっこう時間がかかりました。いっぺんにたくさん漆(といろいろ混ぜたもの)を塗ると、なかかな固まらない。。。でも、つい厚めに塗ってしまう、固まらない、時間がかかる。って具合です。
このそば猪口の金継ぎは動画の方にまとめました。早送り多めで、あーこんな感じに金継ぎをやっていくんだーっ手のが伝わったらいいなーと。
小さく割れた八角小皿
![金継ぎする器3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/38898d8c62f22c6004a916bb7dab7627.jpeg)
この八角のお皿は、他の器と比べるとやや薄くて、ちょい細かく割れていて、欠けている部分もありました。細かい破片をくっつけて、破片のない足りない部分を埋めてから、金を蒔く工程に入ります。ほかの器と同時進行で継いでいますが、動画や写真はこまめに撮っていません。なので、動画の中でちょこっとでてきたり、最終的な出来上がりの写真のみで紹介しています。この写真ももうくっつけちゃってるし。
「つぐキット」で金継ぎする時に参考にした動画
初心者が金継ぎをするにあたって「つぐキット」のYouTubeを参考にしました。「つぐキット」を用意してこの動画を見ながらやれば初めてでも「金継ぎ」できます。
もちろん、上手に金継ぎできるかは、センスとか器用さとか経験が問われます。(と先に言っておく)
ブログの記事と同時進行で僕の動画でも「つぐキット」を使った金継ぎを紹介しています。それぞれの工程を3分くらいの早送り中心でまとめた動画です。やり方というよりは、金継ぎ初心者がやったら、こんな感じだよーというイメージ動画です。ので、温かい目で見守っていただけると幸いです^_^
1.「つぐキット」紹介の動画
【5分23秒の動画です】
まずは「つぐキット」の紹介動画です。
「つぐキット」のセット内容、「つぐキット」以外に必要なものについては上の動画、もしくはこちらの記事で詳しく紹介しています。
2.器の割れている面の角をヤスリで削る
カドをやする動画
【2分34秒の動画です】
まずは、割れたり欠けたりした器をきれいに洗って、乾かしておきます。
![金継ぎする器4](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/0860541313372514f2b6f53eb8d6cbbb.jpeg)
割れた器の表面の角をサッと削る感じに紙やすりをかけました。尖った角の面を取る感じです。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/03e93512c856f3a8335824fb94d41b0c.jpeg)
この作業は初めてやりました(って言っても何回目かの金継ぎだけど)。でも、割れた器がきっちり合うような場合は、少し削って置いたほうがなんていうかギチギチしなくて良さそうだし、ほんの少し漆が表面を覆うような気がするし良さそー!
3.麦漆(むぎうるし)を作る
麦漆を作る動画
【3分36秒の動画です】
割れた器どうしを接着するために麦漆(むぎうるし)と呼ばれる漆を作ります。
![麦漆2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/c2ac4f634666f3c0e0dc803c6062944b.png)
麦漆は小麦粉を水で練ったものに漆を混ぜたモノで、写真のようにみょーんと伸びます。作り方は動画を見てね。
![麦漆](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/97eb9e46c9aacc074cb1d4018737a7e1.png)
あ、そうそう漆はかぶれるので、漆を扱うときにはゴム手袋をして作業をしましょー。と言いつつ、僕は手の皮が厚いのか、漆に耐性があるのか、たまに忘れて素手で作業しちゃったりもするんですけど。。。ひどい人は漆の木の近くを通っただけでかぶれるとかかぶれないとか言われるので、ゴム手袋はしておきましょう。
4.麦漆で器をくっつける
麦漆でくっつける動画
【3分13秒の動画です】
作った麦漆を竹べらを使って断面に満遍なく、けれども薄く塗ります。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/489faa217846708db63258e25b588d44.jpeg)
麦漆は、割れた器の両方の断面に塗って、くっつけます。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/53fe593951450e2974e81b3c26e10b19.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/36c0813792500a8f678f04b301e7d92f.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/4861c678bd317a7143992a31831b68bd.jpeg)
ここできっちりと合わせて、ずれていないかをヘラなどでチェックします。
きっちりとくっつけたら、マスキングテープで動かないように固定します。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/32d40b7e2f416bea5d2387932fefe179.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/1a12c3990a0c45c64504607e13ea0d9b.jpeg)
5.室(むろ)で休ませる
室(むろ)に入れる動画です
【1分10秒の動画です】
「つぐキット」の紹介のページでも登場したダンボールで作った室(むろ)に入れて1週間以上置いておきます。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/006918ec2be6d0199179031bdcf427b9.jpeg)
段ボール箱にビニールを敷いて、タオル(僕は手ぬぐいを使っているけど、パイル地のタオルのほうが湿気が高くなりそう)を湿らせたものと一緒に、くっつけた器を入れておきます。
ダンボールの上に重しを置いて、付箋で作業をした日と次の作業ができる(はず)の日を書いておきました。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/9d55241b67600d78479d0860d70c3439.jpeg)
漆が固まるまで室に入れておくのは、金継ぎをしていると何度もでてきます。ので、「室に◯日くらい入れておきます」ってのは、こんな感じでやりました。
6.漆の後片付け
漆の後片付けの動画
【1分47秒の動画です】
漆を練ったプラスチックの板、ヘラなどをキレイにします。まずはヘラで板に残った漆をこそぎ取ります。
![金継ぎ後片付け](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/d7da90b4be0b3fab4f6dfecb02c045ae.jpg)
こそぎ取った漆をティッシュで拭き取ります。
![金継ぎ後片付け2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/a3892fc10d38af2a661d7178d5651ead.png)
そこに油(僕はサラダ油を使ってます)をちょいと流してヘラでゴシゴシして漆を溶かします。
![金継ぎ後片付け3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/b24185b14f705036e3810da382a6a3da.jpg)
![金継ぎ後片付け4](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/b974e03d94de533693db98392f14d1a5.png)
溶けた漆をティッシュで拭き取って
![金継ぎ後片付け5](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/8856f5800325d138b57229f49d47d604.png)
最後の仕上げに無水エタノールをかけて、残った漆と油をキレイにします。
![金継ぎ後片付け6](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/9a54172f9a97a0334a13e6c9418f31a9.png)
![金継ぎ後片付け7](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/62756479429fc9d440087ce8f52a7a61.png)
漆のお掃除完了!
![金継ぎ後片付け8](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/710e2b216791aee08e1087db6d96ca8a.jpg)
竹べらはティッシュで拭くだけみたいです。油が竹べらに染み込んじゃうからかな?
今回は「麦漆」のお掃除をしましたが、このあと登場する「錆漆(さびうるし)」「黒色漆(くろいろうるし)」「弁柄漆(べんがらうるし)」なども同様にティッシュで拭き取って、油で大まかに落として、仕上げに無水エタノールで拭き上げるって感じで後片付けをしました。
7.余分な麦漆を削る
余分な麦漆を削る動画
【3分11秒の動画です】
麦漆でくっつけた器を室に入れてから、1週間が経ちました。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/bb3c183060e7142f9e83721505aebcd4.jpeg)
麦漆(むぎうるし)でくっつけた時にはみ出した部分をカッターで削ります。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/84d55e0d7c55c66ee3d229cf93225739.jpeg)
外側はカッターでも削れるのですが、内側とか、外側でも高台の裏のところとかは彫刻刀の平刀(僕が使っているのは丸曲刀)などがあったほうが削りやすいと思いました。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/7208e98b5fb6f85d8ec3b725f6ea5456.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/9028cb4133e861f3a1b790d4762cfac0.jpeg)
削り終わった小皿です。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/05f1d9d596237007ccc3380702021682.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/539599486bdc32833d756ee5555711b5.jpeg)
8.大きな欠けを埋めるための刻苧(こくそ)を作る
刻苧(こくそ)を作る動画
【2分4秒の動画です】
この小皿では、この「大きな欠けを埋める」という工程がないのですが、同時進行しているそば猪口には大きな欠けがあります。ので、ここだけそば猪口で欠けを埋めていく様子を。
「つぐキット」の説明書や動画によると、大きな欠けの「大きな」は、1㎜以上の欠けのことだそう。なのでちょっと目立つような欠けは、わりとみんな「大きな」に含まれます。
大きな欠けは、割れた器をくっつける時に使った麦漆(練った小麦粉+漆)に木粉と砥粉を加えて、固めの粘土のような状態にした刻苧(こくそ)と呼ばれるヤツで埋めていきます。作り方は動画を見てね。
![こくそ1](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/aba64174840faaa4efa1f6fb84699ecc.jpg)
![こくそ3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/7371a18fc4d2bfab257526df9cc1a9ba.png)
で、この粘土みたいなやつで欠けを埋めるんですけど、いっぺんには埋められないのです。いっぺんに埋めようとすると固まらない(すごく時間がかかる?)のだそう。なので、刻苧(こくそ)を薄く塗って、固まったらまた上から塗ってを繰り返して大きな欠けを埋めていきます。大きな欠けの修繕は結構時間がかかるのです。
刻苧は、ラップでピチッと巻いて冷蔵庫に保存しておけば、1週間〜10日くらいはくり返し使えるので、その都度刻苧を作る必要はありません。
数日保存して、冷蔵庫から出してきた刻苧(こくそ)です。周りは色が濃くなって固くなっていますが、
![こくそ保存2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/0407bee3b4de6d37f2ac72c7f6f5c96c.png)
中は柔らかく色が薄い状態です。このうにーっと中の柔らかい部分は使えます。刻苧(こくそ)を一度に作る量や保存の仕方にもよるのかもしれませんが、僕は約2日後、1週間後、10日後の3回使えました。最初の回も入れると4回です。
![こくそ保存](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/014f989703ee97376d2535e0a36adf31.png)
でも、4回では大きな欠けが埋まらなかったので、もう1回、刻苧(こくそ)を作りました。
9.刻苧(こくそ)で大きな欠けを埋める
刻苧(こくそ)で大きな欠けを埋める動画
【4分19秒の動画です】
さてさて、刻苧(こくそ)を欠けているところに付けていくのですが、一度にたくさんつけると、なかなか固まらないので薄く塗る→室で1日以上休ませる→固まったらはみ出た余計な刻苧をカッターなどで削る→刻苧を塗る、を繰り返し欠けを埋めていきます。
![こくそ塗る1](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/0020fcfc7fba72a8da851c0d3796c34a.png)
竹べらで塗りつけていきます。竹べらだと均一に塗るのが難しいので、「つぐキット」の動画にもあるようにラップで押さえて均しました。
![こくそ塗る2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/3c3ffd6fcc5cf55576d8e58328e3ca53.png)
![こくそ塗る3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/151ce1044e76ab2d69c117f106b136b9.png)
塗ったら、室に濡れタオルと一緒に入れて固まるまで置いておきます。
けっこう薄く塗ってるつもりなんですけど、金継ぎ界的には厚いんでしょうね、きっと。ので、1回塗りつけたら室に3〜5日位入れておかないと固まりませんでした。
しっかり固まったら、はみ出した余分な所をカッターで削ってから、刻苧(こくそ)を上塗りして、室に入れます。
![こくそ塗る4](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/094c61ba7f4499df59d47df62bfd86aa.png)
繰り返しの作業を経て、大きな欠けを刻苧(こくそ)で埋め終わりました〜!
![こくそ塗る5](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/02651719fe32f578dde102dd0b3d7ca5.png)
このくらいの欠けで、僕の場合ですが、6回刻苧(こくそ)を塗りました。最初に刻苧を塗った日から全部埋まる日まで21日かかりました。1回の作業自体はちょこっとなので、大変ではないんですけど、固まるのに時間がかかりますねー。もちろん、もっと薄く塗って塗る回数を増やしたりすれば少ない日数でいけるのかもしれません。でも僕にはこれが限界です^_^
さて、欠けを埋めた所を整えていきます。まずはカッターで大きく飛び出ているところをカットしておおよその形を整えます。
![カッターでこくそを削る](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/42dbe03d64448093f07ab3a562450397.png)
そして、紙やすりを小さくカットしたものを三つ折りにして、周りの器と馴染むような形になるようにヤスリがけをしていきます。
![ヤスリでこくそを削る](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/b3dc287ef2e31ddaff6ad23b0cdfc6dc.png)
金継ぎ初心者なので、刻苧(こくそ)ののせ方もカッターでの整え方もまあそれなりなので、かなーりこのやする作業が必要です。ひたすらしゅりしゅりしました。30分ほどヤスリがけして、なんとなく整ってきたような気がしないでもない。
![ヤスリでこくそを削る3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/819d55768701989aa044378c30160863.png)
10.錆漆(さびうるし)で小さな凸凹を埋める
錆漆(さびうるし)で凸凹を埋める動画
【3分50秒の動画です】
今度は小さな欠けや、割れを繋げた時の細かな凸凹を埋めていく作業です。ここからは「割れ」も「欠け」も一緒に作業しました。
小さな欠けや凸凹を埋めるのは錆漆(さびうるし)です。錆漆は、砥粉を水で練ったものに漆を加えたものです。
![錆漆](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/33f9f072c6c3cb01b4c902c2b773a521.png)
錆漆を割れをくっつけた所、麦漆で欠けを埋めた上に塗って、小さな凹凸を埋めていきます。錆漆は面相筆で塗っっていきました。
![割れ金継ぎ - 28](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/51370140a00468d7de8052f5efc52caa.jpeg)
細かい凸凹や隙間を埋めるイメージで塗っていきました。
![割れ金継ぎ - 29](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/52c20be1fc146f64865cd0dc7cb6c05e.jpeg)
![割れ金継ぎ - 30](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/6e6fc015f97a14acc99cb0f51770ffa6.jpeg)
![割れ金継ぎ - 31](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/37762fa8a19a289253cf7bf98d68d673.jpeg)
室で1日以上休ませます。
室で休ませて錆漆が固まりました。
![割れ金継ぎ - 32](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/8d89c69db180c057fceeff4cedb7df3c.jpeg)
![割れ金継ぎ - 33](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/3b7e1d7fa3fbeb9093e572899e01be5c.jpeg)
耐水ペーパーを小さくカットして3つ折りにして
![割れ金継ぎ - 33](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/9059fb56066f0a444c7843a9794d092b.jpeg)
水に浸けながら錆漆の余計な所を落とすようにこすっていきます。
![割れ金継ぎ - 34](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/7bee7b409246730d399b7f570fd61858.jpeg)
錆漆をしゅこしゅこし終わった状態
![割れ金継ぎ - 35](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/77f6139d4440fd2b449b70248b0183d6.jpeg)
![割れ金継ぎ - 36](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/9cf0373f59d93a67a86c9900724416a4.jpeg)
そば猪口の欠けを埋めたところにもこの錆漆を塗って、固めて、耐水ペーパーをかけました。
11.筆のお手入れ
筆のお手入れの動画
【1分21秒の動画です】
錆漆を塗った時に使った筆のお手入れの仕方です。順番的には後ろに来ちゃいましたが、筆は使い終わったらすぐお手入れしないと漆が固まってしまいます。
油(僕はサラダ油を使っています)を少量出して、筆についた漆を溶かして、
![筆のお手入れ4](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/c12cce86160118395932ddd3d5dc3824.png)
ティッシュで拭き取る、を何回か繰り返して、筆の漆をキレイにしたら、
![筆のお手入れ5](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/91667f8fe9d897805876b4096e6ebff7.png)
きれいな油を筆に含ませたままキャップをしてしまいます。
![筆のお手入れ6](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/eceaa1de790013ede1965b30fc4d4aed.jpg)
筆を使うときには、無水エタノールで油を落としてから使用します。
![筆のお手入れ](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/72c4c51eaeadf5b7e0cae0da826f2fad.png)
![筆のお手入れ](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/a7f42f0fab4a1852d03fd63e3458d4aa.png)
12.黒色漆を塗る
黒色漆を塗る動画
【3分35秒の動画です】
ここまでは、割れをくっつけたり、欠けや凸凹を埋めたりする作業でしたが、ここからがいよいよ仕上げの作業に入ります。
前回、僕が金継ぎをしたときは、ここから呂色漆(ろいろうるし)、朱合漆(しゅあいうるし)と2種類の別の漆を使ったのですが、「つぐキット」では1本の漆からそれらも作ってしまいます。
「つぐキット」の説明書や動画では、黒い漆(呂色漆)のことを黒色漆と呼んでいます。また赤い方の漆(朱合漆)を弁柄漆(べんがらうるし)と呼んでいます。
黒色漆を作ります。黒色漆は、漆をヘラで黒っぽくなるまでよく混ぜて、そこに黒粉を足して作ります。ほんとに真っ黒の漆になります。粉を混ぜて作るのでちょっとはザラッとしたりするのかな?と思ったのですが、全くしません。滑らかな黒色の漆になりました。
![割れ金継ぎ - 37](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/1c751b2fd64b8791376af50ce969d0e5.jpeg)
黒色漆を錆漆を塗って研いだ上に塗っていきます。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/cf6fe2e28b4e3ccba6690fd5ac5848ee.jpeg)
![黒色漆](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/4e973001e03dee4bd75057ca2d4ed165.jpeg)
![黒色漆2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/1fa4cb5a1572150e0b85454c2f8ec86a.jpeg)
室に入れて、1日以上置いて、黒色漆を固めます。
黒色漆が固まったら、小さく切った耐水ペーパーを濡らして、表面が滑らになるように研ぎます。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/1862440e33d1307f14ebd79a6b85051c.jpeg)
研ぎ終わりました。
![黒色漆3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/f9a778ce26335b67910db9c82f109428.jpeg)
![黒色漆4](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/73431e11a7cbbf7b6c6bf1e634829cae.jpeg)
13.弁柄漆(べんがらうるし)を塗る
弁柄漆を塗る動画
【3分33秒の動画です】
いよいよ最後の漆、弁柄漆(べんがらうるし)を塗っていきます。この弁柄漆の上に金を蒔きます。弁柄漆は漆と弁柄粉を混ぜて作ります。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/9c2f23ffdf8c931c2ab271496bc1101f.jpeg)
さっきの黒色漆とは打って変わって、鮮やかな朱色の漆ですねー。こちらも滑らかな漆になりました。粉っぽい感じは微塵もしません。
黒色漆を研いだ上に、弁柄漆を塗ります。厚くなりすぎないように、でもかすれないように、下の黒色漆もちゃんと隠れるように塗っていきます。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/513658132b2d33043607bad25a5edbd5.jpeg)
これがなかなか難しいんです。手がぷるぷるするし、呼吸で筆がブレるし。。。弁柄漆を塗るだけで、金継ぎ初心者の僕は結構時間がかかりました。この器で10分くらい。(かかりすぎやろ)
塗り終わりました!
![弁柄漆2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/83d5439e3548686daeb9248997bb043a.jpeg)
![弁柄漆](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/e3b7a57c840fe7e968702a6671f7ec4a.jpeg)
14.金消粉(きんけしふん)を蒔く
金消粉(きんけしふん)を蒔く動画
【2分54秒の動画です】
この弁柄漆を塗ってから、15分〜30分置いてから、金消分(もしくは銀消粉)を蒔きます。真綿に金粉をたっぷり着けてそーーっと触れるように金粉をつけていくんですが、僕は弁柄漆を塗るのに結構時間がかかったので、最短の15分だけ時間をおいて金を蒔く工程に。
![金消粉0.1g](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_8752.jpg)
真綿を丸めて、金をつけて弁柄漆を塗ったところにポンポンとおくように振り付けていきました。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/d1949909fae340f0afdeb6b8d1c1cb72.jpeg)
えっ?なんでこの写真は銀粉なんだ?って?それは、、、、のちほど。。。
全体に金粉がついたら真綿でクルクルと金を漬けたところを撫でます。撫でた状態がこれ。
![金を蒔く](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/2e11972451348bb819a4bf44d81505fa.jpeg)
![金を蒔く2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/45a15ea80aec6684e64e54f8ead0834f.jpeg)
これを室に入れて3日後に洗い流したのがコレです。
![金継ぎ完成1](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/0ce9c877c5f3bb01f9d541209a9b78a0.jpeg)
![金継ぎ完成2](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/0e9ab00be5e805ddec144c0565705339.jpeg)
![金継ぎ完成3](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/ac58a8ed3e637f7dfe9bd35633eecf26.jpeg)
プロ並みとはとても言えませんが、金継ぎ初心者としてはまあまあといったところじゃないでしょうか^_^
そして、どうしてさっきの写真だけ”銀”だったのかとゆーと、、、実は1回失敗したのです。。。そして、2回めの写真を撮っていなかったのです。。。
15.金継ぎ、失敗⁉
金継ぎ失敗⁉の動画
【2分28秒の動画です】
最後の弁柄漆を塗って金を蒔く工程で、実は1回失敗しました。金継ぎ初心者にもかかわらず、3つの器をいっぺんに弁柄漆を塗って、金と銀を蒔くという暴挙に出た結果がこちら。
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/6863db0841e45f24f1fda0572c7ed3f1.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/9789a3546d0a161e07ad5410101fb7db.jpeg)
![](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/11e07462ef4fcae8b5a90b7fd6b877f9.jpeg)
残念な仕上がりです。。。動画の方のそば猪口も下の漆がかなり見えちゃってます。
3ついっぺんに塗らなくちゃいけないから弁柄漆を塗るのが雑になってしまいました。そして、雑とは言え初心者が3つの器に弁柄漆を塗るのには、結構な時間がかかりました。その結果、弁柄漆を塗ってから金を蒔くまでの時間が30分を優に超えてしまったのがいけなかったんだと思います。
うまくいかなかった金継ぎの器を見て、しばらく呆然としていましたが、気を取り直して削ってやり直すことにしました。削ってやり直すのは、今回が初めてじゃないんで。。。。
人生初の金継ぎの記録、錫継ぎだけど。
それから、前回は錫分(すずふん)がたくさんあったので、なんとも思わんかったのですが、金消粉(もしくは銀消粉)は、たくさんあったほうがやりやすいなー、と思いました。
初心者だから余計なところに金を蒔き散らしがちですし、金が少ないと真綿が漆にくっつきそうで心配になるというか、実際くっついちゃう。ので、たくさんあったほうがやりやすいです。とはいっても「金」なのでそれなりのお値段がするんですけどね。
とゆーわけで、やり直すにあたって、金消粉1gを購入しました!1gあれば蒔き散らし放題です^_^買ったのはコレです。
![金消粉1g](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_9044.jpg)
![金消粉1g](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/3ff99673621deed1af4406f5610c83f2.jpeg)
「つぐキット」に入っていてたのは金消粉の三号色ってやつだったので、それに習って同じものを買いました。
![金継ぎセット「つぐキット」の中身紹介8](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/10/IMG_7438.jpeg)
初めて継いだ時に使ったのは、錫(すず)でしたが、金や銀の他にも白金(プラチナ)や真鍮(しんちゅう)などもあるみたいです。消粉(けしふん)ってのは、金の光沢をおさえたマットな感じに仕上がるんだそうです。それに対して丸粉(まるふん)ってのがあって、それは粒子の粒が大きく、金を輝かせたい時に使うものだそう。
だけど、丸粉の方はちょっと扱いが難しいみたいなので、僕のような初心者は消粉にしといたほうが無難みたいです。
あと、三号色ってのは金の色みたいです。一号色、二号色、三号色、四号色、三歩色とあるみたいです。実際にどう違うのかは、、、パソコンの画面で見ただけではイマイチよく分かりませんでした。。。
「つぐキット」に最初についてきは金消粉の量は0.1gです。(金消粉が増量のセットもありますよ!)実際に使ってみた感じだと、真っ二つに割れて大きな欠けを埋めたそば猪口(動画のやつ)1回分でギリな感じでした。もちろん、上手な人がやれば、もっと効率よく蒔けるのかもしれませんが。
金消粉を注文しているうちに、蒔いた金(もしくは銀)を、泣きながら耐水ペーパーで落として、その後、黒色漆を塗るところからやり直しました。
やり直した器がコレです。一緒に継いでた他の器たちも、なかなかいい感じに仕上がったんじゃないかと思います。
![金継ぎ完成9](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/6e4ee70e1c50bd2087634e02733ded49.jpeg)
![金継ぎ完成6](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/178564b8dd12586b066b1c02da5c4f74.jpeg)
![金継ぎ完成7](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/5cde0b8a788ceeb2cc825aa93481881b.jpeg)
![金継ぎ完成4](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/5fd7a3e6418617c29e6cb2a0c5b48532.jpeg)
![金継ぎ完成5](https://itiho.com/wp-content/uploads/2021/11/63e1d6a306c9b611182515ce921b9d48.jpeg)
1回目の出来上がりを見たときには、ほんと心折れそうになったけど、やり直して良かった!丁寧にやるのが金継ぎでは本当に大事なんだということを痛感しました。
でも、僕のように失敗してもリカバリーできるので、安心して継いでください^_^
お気に入りの器が蘇ったときの喜びはなんとも言えませぬ。「つぐキット」で金継ぎ生活はじめてみませんか?